日本経済今の日本経済はバブルなのでしょうか Photo:PIXTA

バブルの定義にもよるが、現状がバブルである可能性は否定できない。(経済評論家 塚崎公義)

バブルには2種類ある

 バブルというと、多くの人が想像するのが「誰もが株価は高すぎると思いながらも、明日は今日より値上がりするだろうから、今日買って明日売ってもうけよう、と踊っている強欲な人々の姿」だろう。

 しかし、それは昔のバブルである。最近では「誰もが株価は高すぎるからバブルだと思っている」のであれば、政府・日銀がバブルを潰してしまうので、そうしたバブルは拡大し得ない。

 最近のバブルは、皆がバブルだと思わない時に拡大するので、政府・日銀もバブルが潰せない、というものである。だからこそ、米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めた経済学者、アラン・グリーンスパン氏の名言「バブルは崩壊してはじめてバブルだと分かる」が生まれたのである。

 この名言によれば、現時点ではバブルか否かは不明だということになるが、実態経済から株価が大きく乖離しているので、バブルのにおいがすることは確かであろう。

 ただ、通常のバブルと大きく異なる所も複数ある。通常のバブルは株価が高騰することで実体経済から乖離するのであるが、現状は「株価は(一部の銘柄を除いて)高騰していないが、実体経済が大きく落ち込んでいる割に株価が下がっておらず、実体経済と比べて株価が著しく割高である」という状態である。

 より重要な違いは、株価が暴落するとは限らないということである。今回は、株価が現状水準で固定されたまま景気が回復して、実体経済と株価の乖離が自然と埋まってくれる可能性も決して小さくないであろう。