就職活動に励む子どもに何かアドバイスをしたい、力になりたいと考えている親は少なくないはずだ。しかし就活生の親は、自分自身の就職活動の経験をベースにアドバイスをしがちで、それをきっかけに親子がもめるケースがよくあるという。1990年前後のバブル期に就職した親世代であれば約30年も前のことで、当時と比較して現在の就職市場を取り巻く環境は大きく変わっている。そこで、親子が建設的に就職に関する話をするために知っておきたい、親世代と子世代で大きく変化した4つのポイントを解説する。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
【変化した就職の常識(1)】
情報収集は「紙」から「WEB」へ
親世代の就職活動といえば、何百ページもある「リクルートブック」などの情報誌や新聞広告などの紙媒体から求人情報を探して応募したり、大学のOB・OGなどからの誘いで採用試験を受けたりといったアナログな方法が主流だった。
しかし2000年前後に「リクナビ」を中心とした就活サイトが登場して以降、就職活動はWEBを中心に情報収集してエントリーする方法へと様変わりした。また近年では、ツイッターなどのソーシャルメディアを活用した情報収集が主流になっている。
「情報誌からWEBへと移行したことの大きな違いは、掲載社数が大幅に増えたこと。リクルートブックでは3000~4000社だったところが、今では3万社近くにまで増加している。情報が増えた一方で、フリーワード検索などで個人の要望に合わせて企業は探しやすくなり、簡単に応募(エントリー)もしやすくなった。
そのため、親世代がはがきで応募していた頃とは比べ物にならないほど、エントリー数も増え、採用試験に落ちるのも珍しいことではなくなっている。『我が子は落ちてばかりで大丈夫か』と不安に思う親もいるかもしれないが、過度に心配する必要はない」(就職みらい研究所・増本全所長)
現在の就活生の活動スケジュールは、大学3年生(大学院1年生)の3月1日からの採用広報を受けて、ネットから企業へエントリーし、企業説明会への参加、エントリーシート(応募書類)を提出して、選考へ進むのが一般的だ。
しかし、経団連がスケジュールを規定した就活ルールを廃止したことでWEB世代の就職活動は早期化傾向にあり、先ほど挙げたスケジュールの前からインターンシップや企業説明会・採用選考に参加する人が増えている。大学3年生(大学院1年生)の夏からインターンシップに参加して就業体験をする人の割合は86.2%(「インターンシップに関する調査(2020年卒)」ディスコ)にも上る。
インターンシップは、自己分析や企業研究などに早期に取り組むきっかけになり、また社会人と接する中で「仕事」「会社」への理解、「自分のキャリア」への考え方を深めていく。また、インターンシップから採用へと直結する企業もある。親世代は子どものインターンシップへの参加に理解を示し、ぜひ就職活動への事前準備として応援してほしい。