「考える」とは何か?日本で一番世界に影響を与えている意外な人物とは今はビジネスでも研究でも、あらゆる分野でThink Differentが求められている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 突然だが「考える」とは何だろうか?上司からは「もう一度考えて」と企画書を突き返され、「ちゃんと考えないと、生き残っていけないよな」と同僚とぼやく。しかし、「考える」という言葉ほど曖昧なものはない。日々結果を求められるビジネスパーソンの中には、「新しいアイデアを出さなければ」と焦る気持ちに押され、結局「どこからどう考えていいのかわからない」という人も多いかもしれない。

『考え続ける力』書影『考え続ける力』 石川善樹著 筑摩書房刊 760円+税

 本書『考え続ける力』は、若き気鋭の予防医学研究者・石川善樹氏による「思考シリーズ」第2弾である。前著『問い続ける力』(ちくま新書)では、考えるための「問い」にフォーカスした。今回はいよいよ本丸の「考える」ことに切り込んでいく。

 まずは著者自身が目標とする「創造性のスタイル」が紹介され、さまざまな分野で創造性を発揮している5人の賢人たちと、知的刺激に満ちた対話を繰り広げていく。安宅和人氏、濱口秀司氏、大嶋光昭氏、小泉英明氏、篠田真貴子氏という豪華なメンバーだ。登場する賢人たちの共通項は、単一分野のスペシャリストではなく、異なる複数の分野で何度もイノベーションを起こしていることだ。1つだけなら、その分野の天才かもしれない。しかし複数になると、何かしらの再現可能な方法論を体得している可能性が高い。

 イノベーターたちの実践する思考法には、「こんなことを出発点に考えているのか!」といった新鮮な発見が多々あるだろう。本書を読み終える頃には、あなたの背中に「思考の翼」が生えているかもしれない。(矢羽野晶子)