難解な理論は「目」で覚える

分厚いのに売れているベストセラー『世界標準の経営理論』と『哲学と宗教全史』の意外な共通点入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。2013年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。2019年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。 著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)がある。
Photo by Aiko Suzuki

入山:『哲学と宗教全史』にも、冒頭のジャバラから系図や相関図がたくさん掲載されています。「この人とこの人がこうつながっている」「この人とこの人が対立していた」「この人がこの大きな事象に影響を与えた」といった関係性が非常にわかりやすいです。

出口:相関関係を図にすれば、目で覚えられますからね。
僕が初めて系図を書いたのは、小学生のときでした。

『平家物語』を読んでいるとき、正盛、忠盛、清盛と、名前にみんな「盛」がついているので、相関関係がわかりにくい。そこで、誰がおじいさんで、誰がお父さんで、誰が子どもで、誰が孫で……と自分で系図を描いていき、それを横に置きながら読んだのです。

入山:『哲学と宗教全史』がすごいのは、「立体的」に書かれていることだと思います。歴史に対するタテへの深さはもちろんですが、ヨコへの展開のしかたが非常に広い。東洋と西洋を結びつけ、哲学と宗教を結びつけ、それぞれの関係性が明確なのですっと頭に入ってきますよね。

出口:世界は一つひとつ、つながっていますからね。

入山:出口さんの頭の中にある系統図が見える化されているのが、『哲学と宗教全史』なのだと思います。

(第4回に続く)