人と人とが仲よくなるには
「共通テキスト」を持つこと

出口:人と人とが仲よくなり、互いを深く理解するには「共通テキスト」を持つことが必要です。自分と相手との間に共通の話題を発見すると嬉しくなって、相手のことをもっと知りたいと思うようになります。

僕が以前、ロンドンに赴任していたとき、オックスフォード大学キーブル・カレッジの新学長へ挨拶にうかがったことがありました。

話をしていると、新学長の専門が「後期ローマ帝国」だとわかったので、僕が「ディオクレティアヌス帝の時代ですよね。テトラルキア(四分割統治)の」というと、機嫌がよくなって、すっかり親しくなりました。

共通テキストが多ければ多いほど、相手の立場がよく理解できるので、コミュニケーションがしやすくなりますよね。

日本のビジネスパーソンは、共通テキストが少なすぎる気がします。その理由は、日本人が不勉強だからではなくて、「忙しいから」です。

入山:それ、すごくわかります。

出口:日本の正社員は、平成の30年間、年間約2000時間労働です。一方で、ドイツやフランスは年間1400時間。1年に200日働くとしたら、「1日3時間」も違います。日本のビジネスパーソンは忙しすぎて、本を読むどころではないですよね。

入山:共通のテキストを増やすためにも、ぜひ多くの人に『哲学と宗教全史』を読んでいただきたいです。めちゃめちゃ面白いので。

とりあえず僕の奥さんには、激アツですすめました(笑)。

出口:ありがとうございます(笑)。

今日はすごく勉強になりました。コロナが収束したら、ぜひ飲みに行きましょう。

入山:ぜひぜひ、お願いします。本日はありがとうございました。

(了)