感染者だけを正しく陽性と判定するには、PCR検査で30サイクル以下にする必要があると研究者は言っているが、米国では37~40サイクルになっている。この結果、感染者数が実態の何倍にもなっている。

 たとえばニューヨーク州のある検査施設で行われたPCR検査では、今年7月、794人が陽性になったが、これは40サイクルで検査した結果だった。同じ対象者を35サイクルで判定すれば陽性者は約半数に減り、30サイクルにすると約30%になると、内部の専門家が明らかにした。

 マサチューセッツ州の検査施設の専門家によれば、40サイクルで陽性になった人の85~90%は、30サイクルでは陰性と判定される。

 この記者は何人もの専門家から取材した結果、米国で陽性とされた人たちのうち最大で90%は非感染者だろうと結論づけている。

 8月27日の米国の新規感染者は4万5604人と発表されたが、実際に感染しており、隔離されなければならなかったのは恐らく4500人程度だと書いている。

 米疾病予防管理センター(CDC)は、サイクル数は検査キットのメーカーや各地の検査施設に任せているとしつつ、サイクル数について基準を作ることを検討中と述べている。

BBC「PCR検査は
死んだウイルスも感知」

 一方、「新型コロナ:検査は死んだウイルスも検知」という見出しのBBCの記事は、次のような内容だ(注2)

 新型コロナの診断に使われているPCR検査は非常に敏感なので、死んだウイルスの破片でも陽性判定が出ることがわかった。これは英オックスフォード大学EBM(根拠に基づく医療)センターがこの問題についての25の研究のエビデンスを調べた結果、明らかになった。

 このことはパンデミックの規模が過大に評価されている可能性を示していると、科学者たちは語っている。

 研究に参加したカール・ヘネガン教授は、ごく少量のウイルスでは陽性判定が出ないような「サイクル数の基準(カットオフ・ポイント)」を設けるべきだと指摘した。

 これに対し英国公衆衛生庁は、現在はさまざまな検査キットが使われており、読み取り方法などが異なっているため、基準の設定は簡単ではないが、基準の設定も視野に入れて検討していると述べている。

(注2)https://www.bbc.com/japanese/54045348

症状のある人の診断を
確定するために使うのが正しい使い方

 2つの記事が示すように、現在の新型コロナのPCR検査にはサイクル数が多すぎるために、大量の「偽陽性(間違い陽性)」(感染していないのに陽性と判定すること)を出すという重大な欠陥がある可能性がある。