経済学は理屈であって、現実がその通りになるとは限らない Photo:PIXTA

「物価が上がらない国の通貨は強くなる」というのは理論的には正しいが、今の日本には該当しない。(経済評論家 塚崎公義)

物価が上がらない国の通貨は高くなる、というのが理屈

 購買力平価という考え方がある。「物価が上がらない国の通貨は強くなる」というものだ。理屈は簡単だ。たとえば日本の物価が上がらずに、米国の物価が2倍になったとしたら、何が起きるのかを考えればよい。

 日本で100円のペンが米国で1ドルだったら、為替レートは1ドルが100円になるのが理屈だ。米国でペンが2ドルに値上がりしたら、米国人がドルを円に換えて日本に買い物に来るだろう。

 あるいは、日本企業が米国への輸出を頑張るだろう。2ドルで輸出して大いにもうけようとすることもできるし、1ドルで輸出して大量に売ろうとすることも可能だ。おそらくは1.5ドルで輸出して量を稼ぎ、利益も稼ごうとするだろう。

 そうなると、米国人が日本に来てドルを円に換えるか、輸出企業が持ち帰ったドルを円に換えるか、いずれにしてもドルの売り注文が増えるので、ドルの値段は下がるはずだ。理屈では1ドルが50円になるまで(半値になるまで)下がり、米国と日本のペンの値段が再び等しくなるはずだ。