吉野家ホールディングスが2021年2月期に87億円の営業赤字を見込み、150店舗の閉鎖を決めるなど、コロナによって多くの飲食店が閉店を余儀なくされている。あとに残るのは居抜き物件だが、ウィズコロナが続く中、借り手の事情などはどう変わっているのか。飲食業界の居抜き物件の現状と展望を「居抜き情報.COM」などを運営する株式会社シンクロ・フードの細川晃氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
過去に例を見ないほど
居抜き物件が増加した
コロナによる飲食業界への打撃は相当なものだ。コロワイドやワタミ、吉野家などの主要100社はすでに1000店舗以上の閉店を決め、すかいらーくも新規出店をやめ、深夜営業も停止している。
そこで残るのは内装や設備をそのままにした居抜き物件だ。細川氏は居抜き物件の現状をこう話す。
「緊急事態宣言に伴う営業休止時期および、営業再開のめどが立っていない時期には居酒屋チェーンを中心とした大手企業が一斉に閉店作業を進めました。特に宴会需要に対応した総合居酒屋、サラリーマンをターゲットとしたオフィス街店舗が顕著です。とりわけ宴会需要に対応した50坪以上の大型店舗は、賃料負担も大きいうえ集客のめども立たず一番厳しいといわれています」
閉店を余儀なくされた多くは以前から営業実績が芳しくなかった店舗であるといわれ、緊急事態宣言に伴う休業のタイミングで閉店を決断した格好だ。