60歳以降もローン返済が続く人は
50代の繰り上げ返済をお勧めしない理由

 次は、60歳以降もローン返済が続くケースの見直し方法を見てみよう。

 最初に思い浮かぶのは、「50代のうちに少しずつ繰り上げ返済をし、60歳で退職金を受け取ったら、それをすべて使って繰り上げ返済し、できる限り完済年齢を早める」プランだろう。しかし、私はこの方法は得策ではないと思っている。

 なぜなら、退職金は年金収入を補完するための大切な老後資金となるため、できる限り温存したい。60歳以降は「収入ダウンの崖」に落ちるため、家計収支は良くてトントンで、老後のために貯蓄をすることは難しい。退職金の全額、または大半を使ったローン返済はリスクが高いプランなのである。

 私が50代の人にお勧めする見直し方法は、次のようなプランだ。50代のうちは繰り上げ返済を実行せずにその分のお金を貯めておく。子どもの教育費が50代でかかる人は、教育費を優先しよう。余力があれば、少しずつでも老後のために貯めておく。

 60歳になると、退職金の金額と60歳前半の収入が具体的に分かるので、その時点で具体的なプランを立てて見直しをするのがお勧めだ。「60歳以降の生活が見えるまでプランをガチガチに決めない」というのがポイントだ。

 残りのローンを一括返済しても老後資金を確保できそうなら、定年をきっかけに完済するといいだろう。

 一括返済してしまうと老後資金が心もとない金額になってしまうという人は(多くの人はこちらに該当)、状況に合わせて今から提案する2つの見直しプランから選択する。

 例えば、次のようなケースで考えてみよう。毎月10万円の返済が70歳まで続くローンがあり、その借入金利が1.5%だとする。その場合、60歳時点でのローン残高は約1100万円。そして、それまでに貯めた貯蓄と退職金から老後資金を差し引くと、500万円程度を繰り上げ返済に回せるというケースならば……。