A課長「ありがとうございます。なかなか現状では課題が多いですね。では、あるべき姿はこの裏返しとして、次にこれらの課題が発生してしまう原因を考えましょう。考えられる原因を教えていただけますか?」
Bさん「ネットワーク回線が弱いですよね……何とかしないと」
Cさん「ちょっとしたコミュニケーションを取るきっかけがないですよね……」
Dさん「いろいろなルールが整備できていないですね……」
A課長「ありがとうございます。いろいろな原因がありますね。ではどの原因から取り除きましょうか? この中から改善する原因を特定しましょう」(……と続く)

 このようにA課長が議論のポイントを明確にした質問を投げかけ、議論の順番をリードすることで、意見が拡散と収束を繰り返しながら、議論は問題解決へ向けて進んでいくのです。

 現状を議論するときは現状以外のことは話さない、原因の話をするときは原因以外の話はしないなど、議論のポイントを混ぜないことが重要です。すぐに解決策を話そうとするせっかちな人はいるものですが、そのときはファシリテーターが「解決策は、のちほどゆっくりと話し合いましょう」などと言って、本来の議論へ誘導します。この議論のポイントは「混ぜるな危険!」。混ぜないようにすることでぐっと話題が整理され、議論が活発になります。

活発な議論が生まれない質問(2)
何を答えたらいいのか分からない

「重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである」

 これは、経営の神様と言われるピーター・ドラッカーの名言ですが、会議でもそっくりそのまま当てはまります。会議で議論が活性化しない質問は、ファシリテーターの「問い」がそもそも分かりにくいのです。

 実際の会議で時々、「何を答えたらいいのか分からない」ことがあります。例えば、ファシリテーターから「今の職場の課題を洗い出してください」と投げかけられても、「職場とは、会社全体か部署かチームか、どこまでを含めているのだろうか」「職場の課題って、環境や人間関係などに関するものだろうか、それとも業務に関するものだろうか」といった“新たな問い”が出てきて、結局、何を答えたらいいのか分からなくなってしまいます。こうなると、答えるまでに時間がかかったり、本筋とはズレた意見が出てきたりして、議論が生まれづらくなってきます。

 問いの中に問いが含まれてしまう質問は、いい質問とは言えません。参加者が考えやすく答えやすい質問にするには、シンプルで分かりやすい質問にする必要があります。そのためには、具体性を意識することです。