子宮頸がん,HPV,ヒトパピローマウイルス,ワクチン
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 ついにHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンで、子宮頸がんリスクが大幅に低下するとの報告が出た。

 先月、米医学誌に掲載されたスウェーデンの報告では、2006~17年にHPVワクチン接種を受けた10~30歳の女性167万2983人を追跡し、4価ワクチンの接種とその後の子宮頸がんの発症リスクを評価している。

 対象者のうち、少なくともワクチンを1回接種した女性は52万7821人で、43万8939人が17歳までにワクチンを接種していた。およそ11年の追跡期間中、「ワクチン接種群」で子宮頸がんと診断された女性は19人、「ワクチン非接種群」の114万5112人中では同538人だった。

 年齢、教育レベル、世帯収入、母親のがん病歴などの影響を調整し発症率を比較した結果、ワクチン接種群の子宮頸がん発症リスクは非接種群より63%低下していた。さらに17歳未満の接種群に限ると、非接種群より88%も低下していたのである。17~30歳では53%の低下だった。

 つまり、早いうちに接種するほど予防効果が期待できるわけだ。

 HPVワクチンに関しては、接種から数年で検証できるHPV感染と、感染により細胞ががん化の手前まで変化する「高度異形成」の抑制効果が証明されてきた。

 しかし、子宮頸がんの発症には感染から十数年かかるため、“本命”の発症リスクを抑制できるか否かを検証することが難しかった。平たくいえば確認までに時間が必要だったのだ。ようやく子宮頸がん予防効果が示されたことで、世界の子宮頸がん撲滅運動が盛り上がるだろう。

 ちなみに、スウェーデンのHPVワクチン接種率は、10歳以上の男子・女子を対象とした集団接種プログラムが奏功し、19年12月時点で8割を超えている。一方、日本のそれは限りなくゼロに近い。

 今年7月には9種類のHPVに対応した9価ワクチンも承認されたが、ワクチンの存在自体を知らない若い女性もまだ多い。行政が煮え切らない以上、親の義務として子供たちにHPVワクチンの正しい知識を教える必要がある。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)