世界が経験してきた「四大危機」のなかで、現在のコロナ禍にもっとも近いのは Photo:PIXTA

今年猛威をふるった新型コロナは、人命に関わる脅威だけでなく、経済活動を鈍化させ、破綻させる脅威ももたらしました。経済が破綻すると多くの人が困窮し、最悪の場合は国が滅びてしまう恐れもあります。しかし、歴史をたどると、世界は何度もこういった経済危機を乗り越えてきた事実がありました。そんな世界が直面した数々の経済危機をひも解き、当時の各国の状況や対策をまとめたのが、歴史作家・島崎晋氏の新刊『世界は「経済危機」をどう乗り越えたか』(青春出版社)です。今回は、本書から序章を抜粋・編集して紹介します。

経済危機を引き起こす「5つの要因」とは

 人類は過去に何度も経済危機を経験してきた。経済危機の要因は大きく5つに分けることができる。「天災」「戦争」「税制」「通貨」「金融」の5つで、現実には単独ではなく、複合的要因に拠ることが多い。

 古代中国では「天災」を人間の行いに対する懲罰あるいは警告とする考え方が儒学者により理論化までされたが、同様の考え方は大なり小なり世界中に存在した。両者の因果関係はともかく、冷害や干ばつ、長雨、洪水、火山の噴火、虫害など自然災害は飢饉につながり、近代以前の社会では経済危機に直結する深刻な問題だった。

 感染症の流行は少し展開が異なり、感染防止のために地域封鎖を行えば、経済活動が止まって財政的に行き詰まる。流行が終息しても、労働人口が減少していれば生産性の低下が避けられず、農村人口が激減した地域では貧富の差がさらに広がるところもあれば、逆に待遇が改善されるところもあった。農民一人あたりの税負担を増やしすぎれば反乱を誘発しかねず、国家としても領主としても匙加減の難しいところだった。