長期化するコロナ禍で不安やストレスに晒される日々が続いています。こういった「負の感情」は、心の病気だけでなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を引き起こす要因にもなります。先行き不透明で精神的にも不安定になりがちなウィズコロナ時代、「負の感情」に振り回されて病気にならないように感情とうまく付き合っていくにはどうすればよいのでしょうか。そこで前回に続き、福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授の大平哲也氏の著書『感情を“毒”にしないコツ』(青春出版社)から、今回は「怒り」や「不安」といった負の感情との上手な向き合い方を紹介します。
「怒り」「不安」の感情に振り回されないために
怒りや不安を感じたとき、それを上手に手放す方法はあるのでしょうか。怒ったときの対処法はいろいろ紹介されています。たとえば、キレそうになったとき、10まで数字を数えて……などといわれることがありますが、怒っている人に「ひと呼吸おいて」などといっても、耳に入ってこないでしょう。それができないから怒ってしまうわけです。
正直なところ、怒りをなくしたり、怒りそのものに対処したりするのは難しいと私は思っています。もし怒りの原因がわかっているのであれば、その原因に対して対策を講じるしかないでしょう。怒る「前」の対処が重要です。