スケルトン・インフィルとは、建物を構造体(スケルトン=建物を支える構造躯体)と内装・設備(インフィル=内外装・設備・間取りなど)に分けて設計する考え方のことで、たとえば設備配管類をコンクリートに埋め込むのではなく、パイプスペースなどを設けて、そこに設置するような設計のことをいう。こうした仕様にすることで、構造体を壊すことなく、設備配管類の修理や更新が簡単にできる。

 つまり、配管類やサッシ、内装などの設備機器を丁寧に更新していけば、コンクリートの耐用年数=マンションの耐用年数(寿命)になるわけだ。

建て替えではなく維持管理が重要
スクラップアンドビルド社会からの脱却を

 もうひとつ、マンションの建て替えを積極的に考えざるを得ないポイントがある。それは耐震面だ。阪神・淡路大震災や東日本大震災など、何度も大地震による被害を経験していることで、地震に対する対策の必要性は誰もが切実に感じていることだろう。

「旧耐震基準」(1981年5月31日までの建築確認において適用された基準)では、中規模の地震(震度5強程度)に対して、建物がほとんど損傷しないという想定で設計されていた。ただ、それを上回る大規模な地震(震度6程度)に対しては検証されていなかった。

 そこで、1981年6月1日以降の建物に適用されている「新耐震基準」では、震度5程度の地震では「軽微な補修で使い続けることができる」、震度6の地震でも「建物が倒壊しない」、つまり人命に危害を及ぼすような被害が生じないようにする、というように、構造の基準が引き上げられている。

 そのため、旧耐震基準の時代に建てられたマンションは、新耐震基準に合致する耐震性が確保されているかどうか、耐震診断を行うことになる。診断結果次第では、大規模な耐震補強工事が必要になり、マンションの解体や建て替えを視野に入れなければならなくなるのだ。

 このように、マンションはそれぞれ異なる要因を持っているので、実際の耐用年数を考える場合に、すべてのマンションを一律に扱うことはできない。しかし、少なくとも1981年6月以降の新耐震基準後、ここ30年ほどの間に建築されたスケルトン・インフィルのマンションなら、建て替える必要はないと私は思っている。

 日本には、法隆寺をはじめ、木造建築でも1000年以上使い続けている建造物がいくつもある。そのような木造よりもずっと頑丈で、耐久性のある鉄筋コンクリート造のマンションを、たかだか数十年で取り壊してしまうのは不経済であり、環境にも大きな負荷をかける行為だ。

「いつ建て替えをしたらいいか」と考えるのではなく、「どのようにしたら建て替えをせずに済むか」と考えて、100年以上使い続けることを前提にしてマンションの維持保全に努め、スクラップアンドビルドではない社会を目指していきたいものである。