『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

性格も良く、優しく社交的な人から「女は女らしく」と言われたら…?フェミニズムを知る3冊Photo: Adobe Stock

[質問]
 フェミニズムについて伺っても良いでしょうか。私は、女の子らしく、女の子なんだから、と言われるのが好きではありません。性別関係なくできる限り平等であるべきだ、男女共に性別による役割から解放されるべきと思ってきました。多くの人は少なくとも建前としては平等であることを正義とみなしていると思っていました。

 しかし近頃、男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしくあるべきと主張する人に出会いました。また、女性は妊娠で休まないといけないから、自分だったらそういう人を雇いたいとは思わないと言われたこともあります。これまでに私は女性であることを理由に差別を受けたことはないと思っています。しかし、このようなことを考えている人がいるのを聞くととてもつらくなってしまいます。

 今挙げた方々はエリートで、性格も良く、優しく社交的な人です。それ故にさらにショックでした。

 また、ツイッター上では女性をものとして扱うような言説も多く見かけます。自分が理想論として男女平等を掲げているからこそ、つらくなってしまうのかとも思います。また、男女平等であるべきと考えながらも、トランス女性が女風呂に入るのは、怖いと思ってしまう気がします。さらに、自分が女性でああることで可愛がってもらったり、優しくされるという恩恵を受けているのかもしれないとも思います。男性はより多くのプレッシャーを受けているかもしれません。

 自分の中の矛盾もありながら、自分の理想と周りの意見が必ずしも一致しない中で、どう考え行動すればいいのでしょうか。指針になる本をご教授いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

やさしいものから、「差別とは何か」までおすすめを紹介します

[読書猿の回答]
 量が少なくて易しいものから順に紹介しましょう。

 まずはエマ・ワトソンのUN Women 親善大使の国連でのスピーチです。BuzzFeed.Newsが記事にまとめてます。動画(10分余、日本語字幕付き)もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=jQbpLVI6DwE

 次にナイジェリア・イボ民族出身の作家アディーチェの『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』。100頁ほどの小さな本です。

 この元になった、著者による同名のTED の演説(30分位)はこちらです。日本語訳つきで書き起こしもあります。
https://youtu.be/hg3umXU_qWc

 アディーチェは『なにかが首のまわりに』という短編集もおすすめです。

 さて、いよいよ本題です。

 指針になる本として次の3冊を。レベッカ・ソルニット『説教したがる男たち』、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』、そしてキャトリン・モラン『女になる方法 ―ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』

 あと、差別とは何かという理解については、江原由美子『女性解放という思想』を、家父長制と女性差別については、上野千鶴子『家父長制と資本制:マルクス主義フェミニズムの地平』をオススメします。