『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
学年で上位1割に入るいわゆる『出来る子』を教える機会を得たのですが、どうにも社会の地理分野だけは苦手なようです。どこまで覚えれば良いのか分からない、変わってしまうデータを覚える意味が感じられずやる気が出ないとのことでした。中学生向けの地理でオススメの参考書・問題集が知りたいです。地理分野の学習に興味が持てるような新書・小説等の読み物があれば合わせてご教授いただけると嬉しいです。
地理の本質は暗記ではなく「推論」なのです
[読書猿さんの回答]
地理はほんとは暗記科目じゃなく、地理的な因果関係を自分で推論できるのが目標です。たとえば「瀬戸内海に工業地帯」と暗記するのでなく「なぜ瀬戸内海に工業地帯が?」と問い、その疑問に答えられることが目指されます。
ところが教科書は分量の制限のためか、この疑問の答えである地理的理由が省略されることも多くて暗記科目化を促進してしまってます。
参考書だとマンガで書かれた『中学地理 改訂版 まんが攻略BON!』学研プラスですら「マメマメ知識」の欄でこうした地理的理由に触れられています。
「地理は暗記でなく推理の科目である」という面を前面に押し出した本では、高校生向きですが『権田地理B講義の実況中継』が、講義形式の語りの文体で読みやすいです。
地理分野の新書では、『世界がわかる地理学入門』が面白いです。