レビュー
Twitterの「中の人」という表現はすっかり一般化し、定着した。また単なる宣伝や情報提供のツイートだけではなく、「中の人」のキャラクターが垣間見えるようなユニークな企業アカウントのツイートを見かけることが多くなった。「中の人」を感じさせる投稿は一見ゆるくも見えるが、じつはその裏側では、彼らはフォロワーを喜ばせるために試行錯誤し、トライアンドエラーを繰り返している。
本書 『自由すぎる公式SNS「中の人」が明かす企業ファンのつくり方』では、人気の企業公式アカウントの「中の人」たちが、自らの試行錯誤の軌跡と蓄積してきたSNSノウハウを惜しげもなく披露している。彼らはSNSの双方向性を利用して、毎日消費者と対話をしながら、どうしたら自社のファンになってもらえるかを真剣に考えてきた。試行錯誤から導き出されたノウハウは、SNSがうまく活用できていないと感じている運用者だけでなく、マーケティングや企画、広報などに携わるビジネスパーソンにとっても参考になるところが多いはずだ。
企業でありながら消費者から1人の「人」として見られる「中の人」は、消費がモノからコト、ヒトへとシフトしている現代の企業と消費者の新しい関係性を象徴しているかのようだ。本書で取り上げられた「中の人」は、この時代の変化に対応し、ファンを熱狂させている。具体的なSNS管理方法や炎上防止策、実際のツイートを画像付きで紹介している本書をかたわらに置いて、ファンに愛されるための施策を考えてみよう。(池田友美)