文芸春秋に入社して2018年に退社するまで40年間。『週刊文春』『文芸春秋』編集長を務め、週刊誌報道の一線に身を置いてきた筆者が語る「あの事件の舞台裏」。世界一長く続く林真理子の連載は、なぜ人気なのか。(元週刊文春編集長、岐阜女子大学副学長 木俣正剛)

「文春砲」だけではない
文春を支える連載の力

林真理子さん
林真理子さんの「世界一の長寿連載」が、読者を魅了し続ける秘密とは Photo:JIJI

 週刊誌の編集長をしていると、2通りの読者に出会います。私は特集(いわゆるニュース記事)が好きで、なぜ女性作家や男性識者の身辺雑記を載せているのか意味がわからないという読者。一方で、特集はギトギトしていてしかも週に1本くらいしか読みたい記事がない。あとの20ページ分くらい損をした想いがするので、もっと連載に力をいれてほしい、という読者もいます。

 普段、編集者が出会うジャーナリストや企業広報の人たちからは前者の声が聞こえますが、意外に普通の読者は後者のほうが多いのです。

 週刊文春の読者は女性が多いので、特にそういう意見をよく聞きます。文春といえば「文春砲」と思っている読者が多いかというと、そうでもない。むしろ、普段買わない人が「文春砲」のイメージを強く持っていて、普段の連載を楽しんでくれる読者を失うことのほうが部数を減らすことにつながるのではないか。私はそう思っていたりします。

 かくいう私も、特集チームにばかりいたので、特集至上主義であった時期がありました。しかし、この理論を聞いたとき腑に落ちました。

 それは言語学者による、リポートとラポートという理論です。

 男性の多くはリポートを欲している。リポートとはまさにニュースであり、記者はリポーターです。5W1Hに代表されるきちんとした理屈で、今世の中に起こっていることを伝える。これがリポートの基本です。