米国株が盛り上がっている。米国大統領選挙の「決着」や有効性の高い新型コロナウイルスのワクチンの登場などを背景に、いまや米国株は過去最高値圏。中でも、コロナ禍で出遅れてきた「バリュー・高配当株」に逆襲の期待がかかっている。特集『高利回り商品 総点検』(全12回)の#1では、米国高配当株の妙味について解説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
コロナウイルスのワクチン登場で
最高値を記録する米国市場
史上初の3万ドル超え――。11月24日、米ニューヨーク・ダウ工業株30種平均が3万0046.24ドルの歴史的な高値を記録した。新型コロナウイルスの感染拡大で急落した3月の1万8591ドルという水準から、実に1.6倍もの急回復だ。
背景にあるのが、景気回復への期待感だ。11月、米ファイザーは共同開発するコロナウイルスのワクチンが、臨床試験で95%と高い予防効果を持つことが分かったと発表した。ほかにも米モデルナや英アストラゼネカなどでも高い予防効果を持つワクチンの開発が進むなど、ここにきて急増するワクチン関連のニュースが、経済正常化への期待感を高めている。
加えて、波乱も予想された米国大統領選挙の「決着」が、市場に安心感をもたらした。トランプ大統領はいまだ法廷闘争を諦めていない様子だが、バイデン次期大統領への政権移行に向けた動きが始まるなど、政治的な不透明感が和らいでいる。また、一時はバイデン氏ら民主党の「圧勝」も予想された中、共和党の善戦によって、企業や富裕層向けの増税といったバイデン氏の急進的な政策に歯止めがかかるとみられることも大きい。
世界的な大型金融緩和が続く中、緩和マネーが市場に流れ込むなど「バブル的」な株高を指摘する声もあるが、市場は実体経済の回復を織り込みつつあるといっていいだろう。
そうした中、期待がかかるのが出遅れてきた「バリュー(割安)・高配当株」の逆襲だ。