土地活用と相続税対策のために、賃貸住宅を建てる地主が後を絶たない。だが、空室が多いエリア、敷金・礼金が取れないエリアで、新規にアパートを造ったり買ったりするときは、気を付けた方がよい。特集『高利回り商品 総点検』(全12回)の最終回では、どんなエリアが要注意なのかを不動産評価会社タスの調査に基づき明らかにした。(ダイヤモンド編集部編集委員 田中久夫)
相続対策になるとして
積極的に売り込みを図る住宅メーカー
特集『高利回り商品 総点検』の#8『資産100億円の不動産投資家「自己資金ゼロで金融機関から借りる方法」伝授』で紹介した不動産投資家の玉川陽介氏は、「融資の条件に比べれば物件選びはさほど重要ではない」というのが持論だが、それでも最低限の条件として次のように指摘する。
「見渡す限り、空きスペースがない所がベスト。畑が多い所は駄目ですね。要は地価が下落しそうな所でアパートを造ったり、買ったりするのはやめた方がいい」
相続税対策にもなるとして、日本全国でアパート等が建築されている。建築受注を取りたい住宅メーカー、先祖代々の土地やある程度の金融資産を持つ地主に融資したい地元の金融機関、人口増や税収増を期待したい自治体などの思惑が重なって、なぜこんな所にと首をかしげざるを得ない過疎地にも建っている。
土地の評価額が下がり、ローン残高が相続財産の評価額から差し引かれ、相続税が安くなっても、入居率が下がり収益が悪化しては元も子もない。実際、空室が埋まらず、金融機関への返済がままならないケースも増えている。
新しく賃貸住宅を造ったり、買ったりする際には周辺の空室状況を確認することが大切だ。どんなエリアが特に要注意なのか。不動産評価会社のタスが市区町村別に集計した空室率のデータを基に明らかにしよう。