はやぶさ2で行った人類初のミッションは次の7つである。
・小型探査ロボットによる小天体表面の探査
・天体着陸精度60センチメートルを実現
・人工クレーター作成とその過程、作成前後の詳細観察
・1機の探査機が同じ天体の2地点に着陸
・地球圏外の地下資源にアクセス
・最小/複数の小天体周回人工衛星を実現
いずれも今後の天体探査を変えていく重要な技術だ。その意味でも、はやぶさ2の無事な帰還は宇宙技術史に重要な足跡をしるすことになる。
小惑星探査が
極めて重要な理由
そもそも「なぜ小惑星を調べる必要があるのか」と疑問に思う人も多いだろう。はやぶさプロジェクトは、あの民主党政権による事業仕分けで予算が激減するという日本の科学発展の暗黒期があったものの、打ち上げが行われた2014年度は126億円の予算が計上された。
これほどの金額について、「生活に困っている人も多いのになぜ?」とか「月や火星をもっと詳しく調べる方が役に立つのではないか?」などと考える人もいるだろう。
もちろんそうした惑星探査は重要だ。特に地球の資源に限界が見え始めた現在、月に資源探査基地を作ることは夢ではなく100年後を見据えた重要な国際プロジェクトである。
しかし一方で、小惑星を調べることも極めて重要だ。太陽系は宇宙のチリやガスが集まって太陽が生まれ、太陽の回転が周囲のチリをさらに集めて、太陽の周りをたくさんのチリの塊が回り始めた。この塊がさらに集まって地球のような惑星を作った。地球は誕生後に火山活動を始め、惑星になる前の状態はどこにも残っていない。
惑星になれなかったものが小惑星として今も太陽系を回っている。つまり小惑星を調べることで、太陽系ができたころの様子を知ることができるのだ。