米国ビジネススクール講師である著者が、グローバル人材のための「決算書の読み方」を伝授する本連載。基礎編では決算書の中でも重要な3つの書類「財務3表」のエッセンスを全3回にわたってお届けします。第3回目は、Amazonの英文決算書を用いてキャッシュフロー計算書(CF、英語ではCashflow Statement)の読みどころを解説します。
>>『5分でわかる米国決算書(基礎編)貸借対照表は企業の「モノ・カネ」をまとめたもの!』
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キャッシュフロー計算書は
「5つの項目」だけでスラスラ読める
「『経営』の定義とは?」
これは、難しい質問です。経営は非常に幅広く、定義の範囲を1つに決めることができない曖昧なものだからです。実は、そんな経営情報を包括的に捉えるためのツールがあります。決算書(=会計)です。
決算書については、経営者が必要とするものであり、一般的な会社員には無用だと考える傾向がありますが、決してそうではありません。決算書で与えられる定量データは経営全体の成績表であり、当然、所属する部署の成績表にもつながっているためです。他社を分析するときも決算書は大いに役に立ちます。役職についていようがついていまいが、全体の「見える化」はビジネスパーソンにとって持つべき能力なのです。
最近では、経営分析の対象は日本企業だけでなく海外企業へと広がり、英語での決算書を読む必要が出てきています。海外企業の決算書は当然英語で開示しているため、英語で決算書の解読をする必要があります。英語に不慣れだと、英語で書かれた文書と数字の羅列を見ただけで、目を背けたくなる人もいるでしょう。ただ、日本語の決算書であれ英文決算書であれ、会計士でもない限りは細かく見る必要はありません。概要だけをざっくりつかんで、その会社が行う事業を想像したり、業績のトレンドを確認したりすればよいのです。
この基礎編では、決算書で重要なIncome Statement(損益計算書、日本ではPLと略される)、Balance Sheet(貸借対照表、BS)そしてCashflow Statement(キャッシュフロー計算書、CF)の読み方をざっくりと紹介していきます。