知り合いの一級建築士の方が、1人法人をつくって独立するというので、出資をしたことがありました。創業から何年たっても、いつもお金がないとぼやいていました。

 建築士の仕事は、実際に契約をしないとお金が入ってきませんから、不動産業者と同じで成功報酬だといえます。知り合いの建築士さんは気がいいもので、いろいろな計画が次々と持ち込まれてくるのですが、プランニングしているうちに話がなくなったり、ほかの業者に話が行ってしまって、なかなか成果に結びつかないのが最大のウイークポイントでした。

 私は彼に対して、図面1枚描くにもけっこうな労力がかかるんだから、プランニング図面を提案する段階から契約するように何度もアドバイスしたのですが、聞いてもらえず、とうとう設計事務所は倒産して閉めてしまいました。

 いつも遊びに行くたびに、奥さんまでもが「お金がない、お金がない」といっていたので、彼の場合は完全に貧乏倒産でした。

 一級建築士といえば、建築業界でも「先生」と呼ばれる花形資格ですが、実は独立しても食えない人が大勢います。私の次男が絵を描くことが好きだったため、中学生のときに建築士になりたいといい出した時期がありました。建築士では食えないし、ゼネコンなどの設計部に入ったとしても超長時間労働のブラック職場だといって諭したことがあります。

 クリエイティブな仕事なので図面を引いているとすごく楽しいですし、時間も忘れて没頭してしまいますが、図面にしても確認申請や設計見積もりの作成にしても、提出期限を切られる仕事なので、恒常的な長時間労働と残業体質からはなかなか抜け出せない業界だと思います。

 スーパーもそうですが、忙しい割には儲からない業界には身を置かないことです。

儲かっている商売に潜む
金持ち倒産への道

 儲かっている商売や儲かっている会社は波に乗っているため、とても勢いがあります。とくにバブル崩壊後やリーマンショック後に倒産した企業を思い出してみると、共通するのは業績好調による急拡大です。

 売り上げも利益もどんどん伸びているときは、銀行は寄ってたかって「うちにもぜひ融資させてください」とすり寄ってきます。しかし、ひとたび世の中の景気が悪くなったり、雲行きが怪しくなった途端、銀行は一斉に融資をストップしたり、貸しはがしや回収に走ります。

 かつて飛ぶ鳥を落とす勢いでスーパー業界トップを走っていた中内功氏率いるダイエーや、積極的にブラジルやコスタリカ、シンガポール、台湾、アメリカなどに出店し、香港、シンガポール、マレーシア証券取引所に次々に上場を果たしていったヤオハンも、1997年には会社更生法の適用を申請し倒産しています。

 不動産業界でも、バブルの頃、破竹の勢いでワンルームマンション開発とホテル事業を展開していたマルコーが、銀行融資が止まった途端、あっという間に会社更生法を申請して倒産しました。そのほか、リーマンショック後に破綻したゼファーやスルガコーポレーションなど、数多くの上場企業が消えていきました。