日本経済のキャッチアップ過程が終了したことに加え、安価で良質な労働力を多く抱える新興国の台頭、製造プロセスにおけるモジュール化(予め一定の接続ルールで作られた複雑な機能を持つ部品を組み合わせることで、高度な製品を製造すること)の普及によって、企業が競争力ある事業構造を構築するには、長期雇用で人材を内部育成するだけでは間に合わず、外部のスキル人材を調達する一方、人員削減を伴う不採算部門の整理も避けられなくなっている。

 高学歴化や女性の社会進出の浸透で、企業はかつてのように女性正社員を安価で柔軟な労働力としては活用できなくなっている。高齢者の増加は労使折半の社会保険料負担を増やし、企業収益の無視できない圧迫要因になっている。

 こうしたなかで企業がとった対応策は、正社員を減らして企業福祉モデルの負担を避けようとしたことである。その結果が、高コストの日本型雇用慣行の埒外である非正規労働者の急増であり、とりわけ若い世代でのその割合の増加と失業率の高まりであった。

 全年齢でみた非正規雇用比率は1990年には20%程度であったものが、90年代にハイペースで高まり、2000年には26%に達した。とりわけ15~24歳の若年層の非正規雇用比率はこの間、20.5%から40.5%に高まり、失業率も4.3%から9.2%に高まった。ここで指摘しておくべきは、いわゆる格差問題は2001年に始まる小泉改革が原因だとする声があるが、それ以前から問題は発生していたことである。