経済学者や経営学者、エコノミスト111人が選んだ2020年の「ベスト経済書」をランキング形式でお届けする『ベスト経済書2020』(全5回)。第3回は、第2位となった『経済学を味わう 東大1、2年生に大人気の授業』を紹介する。著書の基となった授業を始めるに至った経緯、著書を書くに至った動機、ビジネスマンに読んでもらいたいポイントなどを語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
ベスト経済書2020 第2位【77点】
『経済学を味わう 東大1、2年生に大人気の授業』
(市村英彦、岡崎哲二、佐藤泰裕、松井彰彦編)
幅広い学生に面白さをわかってもらう
この本は東京大学での授業を基にして書かれた本だ。その授業名は「現代経済理論」。駒場キャンパスの教養学部の1、2年生向けの授業で、対象は経済学部に進学する学生だけではなくて、理科系も含めた全ての学生だ。
この授業は、2019年度に始めた。なぜ始めたのか。
東大は、教養学部2年間、そして専門の学部2年間という仕組みになっている。専門を勉強する期間が2年と短い。その上3年生になって経済学部に入ったときには、学生の視野に就職が入ってきて、落ち着いて経済学を勉強する期間があまりないと考えていた。1、2年生の教養学部の時から経済学を勉強してほしかった。
また、2年生の後期に経済学の授業はあるのだが、進む専門の学部が決まる夏以降のため、経済学部に進む学生だけが受ける授業になっている。幅広い学生に経済学の面白さを分かってもらい、経済学部に行ってみようと思ってもらうことが十分にできていない状態にあった。それで前期に1、2年生対象の授業をつくろうということになった。