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経済学者や経営学者、エコノミスト111人が選んだ2020年の「ベスト経済書」をランキング形式でお届けする『ベスト経済書2020』(全5回)。第2回は、第1位となった『世界標準の経営理論』を紹介する。著書を書くに至った動機、ビジネスパーソンに読んでもらいたい理由などを語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
ベスト経済書2020 第1位【121点】
『世界標準の経営理論』
(入山章栄著)
経済学、心理学、社会学由来の理論をまとめて俯瞰した
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経営の理論は人が何をどう考えて、どう意思決定をして、どう行動するかを突き詰めるものである。ただ、人間は複雑でいいかげんな存在で簡単には割り切れない故、他の学問の分野から理論を借りてくることになる。それが、経営学の場合は経済学と心理学と社会学になる。
海外の経営学者は得意な理論がそれぞれにある。それぞれの経営学者は自分が強い分野に基づく経営理論には精通しているが、違う分野に基づく理論のことはあまり知らない。だから、3分野をまとめて俯瞰する教科書が今までなかった。そこで“教科書”として書いたのが本書だ。
私は、自分なら書けるかなと思っていた。経済学部出身で、留学して博士号を取得した米国の大学は社会学に強く、隣接している大学は認知心理学が得意だったため、3分野ともある程度知っていたからだ。この本は雑誌の連載が基だが、連載を開始するときに「世界初の理論をまとめた教科書なら書きたい」と言って書き始めた。