社会人訪問を阻む
2つの壁とは
社会人訪問を成功させるためには2つの壁を越えなければならない。(1)アポイントの壁と(2)紹介の壁である。詳しく説明しよう。
(1)アポイントの壁
・大学のキャリアセンターを通して活用できる名簿から連絡しても、返信がない
・Webサービスを活用しても、アポイントが取れない
このアポイントが取れないことを「アポイントの壁」と定義している。多くの就活生がこの壁にぶつかる。大事なことは、なぜ自分がその人に会いたいのか、またその人にとってなぜ自分に会う意味があるのかを伝える努力を怠らないことだ。自分にとっても相手にとっても、貴重な時間を割くという意識を忘れてはいけない。
(2)紹介の壁
・会ってくれた人とは違う仕事をしている人の話を聞くために紹介を依頼するが、つながらない
・知人の紹介を依頼してもつないでもらえない
これが紹介の壁だ。就活がうまくいく人は、必ずこの紹介の壁を越えている。理由はシンプルだ。社会人が他の就活生よりも目の前の学生を高く評価し、自社の社員として迎え入れるために動いてくれるからである。
社会人から人を紹介してもらい、次々と社会人訪問ができてしまう状態を「紹介フェーズに入る」と私は呼んでいる。毎年、この「紹介フェーズ」に入って、50人、多い人は100人以上の社会人と会う我究館生もいる。
では、「紹介フェーズ」に入るためには、どうすればいいのだろうか。それには、会ってくれた社会人に、人間性と能力において自分が魅力的な学生であることを認知してもらうことが必要だ。
なぜこれが大事なのか。採用の本質は「一緒に働きたい人」を探しているだけだ、と私は認識している。そして、一緒に働きたい人かどうかを判断する要素は、学生の人間性と能力に集約される。
社会人にその人間性と能力を評価してもらうために大事なポイントは2点だ。1つは反応する力、もう1つは質問する力である。それぞれ以下のように定義したい。
(1)反応する力
相手の話に対して、耳と目(聴覚と視覚)の両方に訴えかけながら反応すること
自分の話を無表情や無反応で聞く人と、相手を見て反応しながら表情豊かに聴いてくれる人。どちらと一緒に働きたいかと問われれば、多くの人が後者を選ぶはずだ。表情やあいづちで相手に与える印象は大きく変わる。言葉で反応することはもちろんだが、話を聞く姿勢を意識するのは非常に大事である。
(2)質問する力
目の前の人との時間を充実させるための質問を用意する力
目の前の人を無視して、終始会社のことについて質問する就活生がいる。あるいは、一方的に自己PRを行い、「添削してほしい」などと言う就活生も。これは失礼な行為だ。
貴重な時間を割いてくれている社会人に配慮し、相手にとっても自分にとっても充実した時間にする必要がある。そのために大事なことは、事前に相手のことや企業への理解を深め、質問を用意することだ。相手が話したいこと(興味のあること)と自分の聞きたいことが一致するように準備ができると、とても良い。