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世界恐慌期、日本だけが世界各国に輸出攻勢を仕掛け、結果的にその市場を求めて侵略的になった――との言説は多い。だが、為替レートを加味して当時の貿易統計を調べてみれば、そのような結果にはならない。こうした単純な事実を知ることこそ、平和につながるのではないだろうか。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)

 日本には輸出が大事だと考えている人が多いと同時に、その輸出がかえって世界に迷惑をかけているのではないかと考えている人も多いように思う。また、円高がまずいと考えていると同時に、円安は通貨安競争で世界経済を不安定にするとも考えている人が多いようだ。

 1930年代の大恐慌期でもそうだった。日本は、世界大恐慌の中で、円安により輸出を急拡大させたのに対して、世界は日本の輸出を制限した。それゆえ、日本は輸出のはけ口を求めて、対外侵略的になったと考える人もいる。しかし、そもそも、日本の輸出は急増などしていなかった。