見せ方を変え、客層を変える
まず、ワークマンプラスの概要をお話ししよう。
ワークマンの店舗はいずれも100坪の標準店舗で、そこで作業服や作業用品1700アイテムを取り扱ってきた。
ワークマンでは一般向けのアウトドア製品も展開し、客層拡大を狙った。
売り場面積の比率は作業系7に対し、アウトドア系3。ただし、アウトドア向けに新たに開発した製品はない。もともとあった作業系1700アイテムから、派手めで一般の人もアウトドア、スポーツ、防水ウェアとして使える320アイテムをワークマンプラス用に選んだ。
そして、見せ方を変えた。
作業系の製品は機能のよさで売れていて、デザインで買う人はあまりいなかった。
しかし一般客の場合、デザインが重要なので、きちんと見てもらえるようにした。それまでのワークマンにはマネキンや全身の姿見はなかった。スタイリッシュな作業着をコーディネートしてマネキンに着せ、店内のあちこちにお客様の全身を映す鏡を置き、試着室を広めに取った。
もともとあった製品をマネキンに着せて違う客層(アウトドア一般客)に販売する。これがすべてだ。製品でなく客層のほうを拡大したのだ。
株式会社ワークマン専務取締役
1952年生まれ。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「エクセル経営」を持ち込んで社内改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞、会社として「2019年度ポーター賞」を受賞。2012年、ワークマン常務取締役。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。「ダイヤモンド経営塾」第八期講師。これまで明かされてこなかった「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓く秘密を本書で初めて公開。本書が初の著書。