22年卒の体育会学生にとって
コロナ禍の就活はむしろ有利に
このように例年、厳しい状況下で就活をするのが体育会学生の定めではあるものの、21年卒学生はコロナ禍でどのように就活を行ったのか。
実は4月の緊急事態宣言によって多くの大学で部活動が自粛になり、さらに企業の採用過程がオンライン化されたことで、体育会学生の就活に割ける時間は増えたという。ただ、川原氏は良い影響ばかりではなかったと振り返る。
「確かに、例年よりも時間ができたことで体育会学生が選考を受ける企業数も増えた。しかし、自己分析を十分にせずに、なんとなく有名な企業を受けている学生が多かった印象だ。
また、例年であれば、体育会学生の寮でOB・OGが説明会を開催してくれるものだが、それもなくなり、積極的に情報を取らなければいけなくなった。OB・OGとのつながりが体育会学生の大きなメリットの一つでもあるのに、それがなくなったことで個人の『就活力』によって結果に差が出たといえる」
こうした21年卒学生の先輩の状況を受けて、22年卒の体育会学生はどのように動けばいいのか。前出の中村社長によると、22年卒の体育会学生は、21年卒の先輩たちのこうした苦労を見ているからか、例年よりも早めに就活に動き出し、情報を得ようという積極的な人が多いようだ。体育会学生の就活支援を行うアスリートプランニングの体育会学生の登録者数は、昨年12月の時点で前年を10%上回っているという。
「説明会や選考過程がオンライン化したことで、体育会学生でも時間を効率的に使えるようになったことは大きなメリットだ。また、実は体育会学生は忙しさからインターンシップにあまり参加できず、選考プロセスにある『グループワーク』に経験不足から苦手意識を持つ人が少なくない。しかし、オンライン選考でグループワークの実施を見送る企業も増えており、それは体育会学生にとって追い風になっている」(中村社長)