「成績を残していないからダメ」
なぜか自己評価が低い体育会学生も

 22年卒学生は体育会学生に限らず、コロナ禍での景況感悪化を警戒して、例年よりも早めに就活に動き出す人が多いといわれている。そうした中で、体育会学生が一歩抜け出すにはどのような点を魅力として押し出せばいいのか。

「目標を追って日々努力を続けられ、組織に属する中でその看板を背負うことに体育会学生は慣れている。これは企業にとって安心感につながり、彼らのさまざまなつらい経験も魅力的に映る。そのため企業からの人気は昔と変わらず今も高い」(中村社長)

 ところが残念なことに、体育会学生自身はその魅力に気づいていないケースが実に多いのだという。

「体育会学生は全体のわずか10%程度であるにもかかわらず、その多くは自分たちの希少価値を分かっていない。体育会に属していても『全国レベルの成績を残していないからダメ、何もない』と思い込んで、自己PRの記述でつまずく学生がいる。実際、コロナ禍で部活ができず、大会が中止になったことで不利になるのではないかと不安がる人もいた。しかし、決してそんなことはない。企業側が見ているのは、何を考えて苦難を乗り越え、何を身に付けたか。そして今の時代に必要な変化への対応力だ」(中村社長)

 このことから体育会学生が就活で納得できる結果を残すためにも、部活において大会の成績以外で得たことを振り返る「自己分析」は絶対に欠かせないだろう。

 さらに川原氏は、「かつての体育会学生には、ストレス耐性や上下関係を大事にできる点が求められたが、今はそれだけでは不十分」だと語る。

「これからの時代は、やってきた経験を『自分の軸』を持って話せるかどうかが大事になる。周りの目を気にしたり、ただ上司の言いなりになったりするだけではなく、自分に主体性を持って組織への貢献性を見せられるようにすべきだろう」(川原氏)