実は営業だけじゃない
体育会学生に向いている仕事

 体育会学生の就職先や職種は、彼らの「約9割が文系」(中村社長)ということもあり、金融機関やメーカーの「営業」というイメージが定着している。しかし近年では、ほかの業種に就くケースも増えてきているという。

 一つ目がIT企業でのシステムエンジニアなどの技術職だ。スポーツに限らず「分析しながらスキルを身に付けることが好き」(川原氏)という体育会学生も多く、実は向いている仕事なのだという。

 二つ目が人材系コンサルタントだ。「体育会学生の多くは大きな挫折を乗り越えた経験、組織の中で板挟みになりながらも調整を図ったような経験もある」(川原氏)ため、キャリアコンサルティングなどの分野で力を発揮できる可能性がある。

 最後に、同じ営業でも「提案型営業」において彼らの需要は高まっている。近年では、メーカーなどでさまざまな部門を横断してメンバーが連携する事業の遂行や、それをまとめるような仕事が増えている。まさにチームワーク、フットワークの軽さ、リーダーシップといった体育会で培った能力を発揮できる仕事といえるだろう。

「体育会=営業」というレッテルを自分に貼って就活をしている学生や、「わが子は営業しかできない」と思い込んでいる彼らの親世代は少なくないかもしれない。しかし、体育会学生と一くくりにはできないほど、経験から得たものや持っているスキル、考え方は人それぞれ。忙しい合間を縫いながらも自己分析や業界・企業研究、説明会などを通して、誰とも違う後悔のない就活をしてほしい。