運がいい人「運」は、もともと持っているものというよりは、その人の考え方や行動の仕方によるものだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

「なんだか最近ついてないんだよね」と友達にこぼす。懸賞に当たれば、うれしい気持ちとともに「こんなことで運使っていいのかな」と考える。すごく信じているわけではないけれど、なにかと意識してしまう「運」について、脳科学者の視点から、科学的にアプローチしたのが本書『科学がつきとめた「運のいい人」』だ。

『科学がつきとめた「運のいい人」』書影『科学がつきとめた「運のいい人」』 中野信子著 サンマーク出版刊 700円+税

 ここで扱われている「運がいい人」になるための方法の中には、「早寝早起き」や「『私は運がいい』と書いた紙を貼っておく」など、過去にどこかで聞いたことがあるようなものもある。しかし、そういった事柄についても科学的な根拠に基づいて説明しているため、納得しながら素直な気持ちでやってみようと思うことができる。また、自己イメージが実際の行動に直結することを示す実験や、脳内神経伝達物質の話など、著者の専門である脳科学あるいは認知科学的な考察に関しては、より細かく具体的に描かれている。自分の身体にそんな特徴があるのかとわかって、非常に面白い。

 本書には、運がいい人になるための秘訣がとにかくたくさん書かれている。明日から実践できることだけではなく、「理屈はわかるけれど、ちょっとすぐに実践するのは難しい」ことも含まれている。いずれにせよ、1個でも2個でもできることから取り組んでみて、折に触れて読み直してみたいと思わされた。「運がよくなりたい」と一度でも思ったことがある人には、ぜひ手にとっていただきたい一冊である。(河合美緒)