竜宮城で現実逃避してないで、現実を見ろ

村本 僕はお笑いで何をやりたいかっていうと、竜宮城の外で起きてることを見せたいんですよね。日本の芸人がだめなのは、芸人同士ばっかりでつるんで、18歳、19歳の延長線上でずっとやっていて外の世界を見ようとしないことだと思うんです。

 お笑いなんかは竜宮城の中の出来事で、タイやヒラメをのんきに見てるような、「竜宮城TV」みたいなもんですよ。竜宮城の中で「あー楽しい、ずっと踊っていたい、楽しい」って、ずーっとやってるわけですよ。

 でも、結局あそこから出たら、みんないろんなしんどいことを経験していて、悩んでるわけですよ。竜宮城の外には社会があるわけです。でも、あの中は社会とは切り離されてるから、地上で起きてるたくさんのことを見ずに年を取ってしまう。突然、玉手箱を開けたみたいに、「あれ? 気づいたら年を取ってた」みたいになるんじゃないかと思うんですよ。

政治や社会問題を「重たい」と避けている不感症なあなたへ

――本の中でも、それを問題視されていましたよね。そうした日本の現状が、本やTHE MANZAIなどで発信されている理由の一つだということでしょうか。

村本 うん、竜宮城の外で起きてることをちゃんと見せて、早くここから出てこいって伝えてる感じですね。

 さらに言えば、僕だけじゃなく、みんなが社会の違和感に対して、自由に痛快な激烈ツッコミをできるようになったらいいのにな、と思いますね。

 の中では「俺が浦島太郎のカメなら、いじめっ子を背中に乗せて海の底に沈めて殺す」って書いてるんですけど(笑)。みんなそんな感じで、在日の人も、沖縄の人も、福島の人も、どこの人だって、浦島太郎を待つんじゃなくて、みんなのなかから浦島太郎が生まれるのがベストだと思う。

 そういう空気が日本にも蔓延していったら痛快だなと思います。僕なんかじゃなくて、もっといろいろな人の中から発信する人が増えたら最高ですよね。

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第1回 だから僕は、社会問題をネタに漫才をする、本を書く

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