マンション建て替えは極端に少ないマンション建て替えは極端に少ない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本におけるマンションの歴史は60年を超え、いまや全国には665.5万戸分のマンションが存在する。それだけの数がある中で、これまでに建て替えられたマンションはわずか1万9200戸しかない。なぜマンションの建て替えはこうも進まないのだろうか。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)

築40年超のマンション91.8万戸に対して
建て替え実施済みは1万9200戸だけ!

 前回の記事、『マンションの「本当の寿命」はいつまで? 建て替えは必要か』で、主にコンクリートの耐久性という観点から、「鉄筋コンクリート造の建物は100年以上もつ」「数十年程度で取り壊してしまうのは不経済であり、環境負荷も大きい」として、「マンションの建て替えはできるだけ避けたほうがよい」という私見を書いた。

 しかし、そうは言っても、いつかは建物の寿命がやってくる。そこで今回は、マンションの建て替えを実施するまでの道のりや、建て替えにあたっての課題について考えてみたい。

 国土交通省によれば、分譲マンションのストック戸数は、令和元年末時点で約665.5万戸。そのうち、築40年超のマンションは91.8万戸にのぼる。10年後には約2.3倍の213.5万戸、20年後には約4.2倍の384.5万戸になる見込みだ。