2018年に発生した北海道胆振東部地震では大規模なブラックアウトが発生し、電力が使えないことによる市民生活や経済活動に甚大な影響を与えるケースを、目の当たりにした。市民生活で電気・ガス・水道などインフラは欠かすことはできない。災害時にこれらが失われた場合を想定しての対策が急務である。例えば、トヨタ自動車などは自動車を非常電源の供給に利用することを推進している。これは一時的な屋外での避難生活にも利用が可能なので、新たな防災・減災対策として自動車の活用が選択しになっている。非常電源などのバックアップも忘れてはならない。

コロナ禍で災害が発生したらどうするか

 災害の発生は防ぐことはできない。しかし、その被害を軽減する、すなわち減災の考え方でこれらのリスクに対して取り組む必要がある。現在、国際的に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの感染拡大は深刻であるが、こうした環境下で地震などが発生する可能性はゼロではない。いわゆる複合災害である。

 現に、2020年に九州、熊本などで豪雨災害が発生して(令和2年7月豪雨)、多くの被災者が避難所で距離をとりながら、また同ウイルス感染防止対策をしながらの避難生活を余儀なくされた。この事例から学ぶべきことは主に以下である。

1) 避難所での「3密」(密閉・密集・密接)を避けること。安全な親戚宅や、ホテルなど避難所以外への分散避難。安全が確保できる時は、「在宅避難」も検討。

(2) せっけんによる手洗い、アルコールによる手指の消毒、マスク着用、空間を清潔に保つこと

(3) 避難所では検温を徹底し、消毒を行う。間仕切りを使うなどして個室に近い状態を作る。一方で課題として3密を避けるために、避難所の定員が少なくなるので、その分、別の避難所を用意する必要があること。またその避難所を運営する自治体職員などのスタッフが足りなくなること、復興期においては感染防止のためにボランティアを積極的に集められないことなどが課題として挙げられる。

 阪神・淡路大震災以降、私達はこれまで多くの災害に直面して、大きな犠牲が生じた。それらを教訓としてこれからの災害対応に生かさなくてはならない。それは、ハード面とソフト面双方からアプローチすることが重要である。つまり、道路の拡幅や防潮堤の整備などのハード面、また自主防災組織や住民自身のスキル向上などソフト面、この双方がともに機能しなくては意味がない。

 これまでの災害事例から課題を学び、その改善・克服に国や自治体はもちろんだが、企業やボランティア、そして住民、地域社会全体で取り組む必要があるし、学ぶ必要がある。そして実践する必要がある。

 阪神・淡路大震災は発災から26年を迎え、この震災自体を知らない世代も増えてきた。風化が危惧されている。しかし、これまでの知見を生かすことの重要性など、コロナ禍の中で学ぶべき部分は多い。個々が自覚し実践する中で、リスキーな社会ではあっても乗り切れる、そしてともに支え合える日本の防災・減災システムを構築しなくてはならない。