非肥満でも脂肪肝ならば、感染後に重症化のリスク
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 羽田雄一郎参議院議員が53歳の若さでコロナ禍に倒れたのは記憶に新しい。「自分は若いから、大丈夫」と考えていた層に衝撃を与えたことだろう。

 米テキサス大学の報告では、50歳以下でも過体重は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化、入院リスクであり、重度の肥満者は正常体重の患者よりも、死亡リスクが36%高いことが示された。生き延びても後遺症に悩まされる可能性が高い。

 さらに、独立したリスクとして注目されているのが脂肪肝だ。

 新型コロナウイルスの侵入ルートは肺や腎臓、心臓などの内臓や脂肪細胞の表面に分布しているアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)だ。ウイルスがACE2に結合すると、もともと存在している細胞膜内への通過ゲートが開き、細胞内に侵入、増殖を始める。

 昨年末に報告された研究では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者は、ウイルスの侵入経路であるACE2と通過ゲートが増えているとわかっている。

 同研究は肥満手術を受けた56人の女性が対象。23人がNAFLDと診断済みで33人は診断基準を満たしていなかった。対象者は術前に肝臓、空腸、内臓/皮下脂肪のACE2発現量を調べている。

 その結果、同じ肥満度でも、NAFLDの患者は肝臓、内臓/皮下脂肪でACE2発現量が有意に増加していたのだ。研究者は「NAFLDは肥満とは別に、それ単独でCOVID-19の重症化リスクになる」と結論している。

 脂肪肝というとアルコール依存症や病的肥満に伴うものと思いがちだが、日本人は見た目が標準体形でも筋肉不足で内臓脂肪が多いタイプの「隠れ脂肪肝」が多い。自覚症状がほとんどないので、脂肪肝に気をつけている人は少ないだろう。

 しかも、NAFLDの好発年齢は男性が40~50代、女性は60代の中高年層で、いわゆる「会食」で感染しやすい層と重なる。

 健康診断で「肝機能異常」を指摘された経験がある人は、感染対策をもう一度、見直すこと。「持病はないから大丈夫」と高をくくっている場合ではない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)