エラい人も「しろうと」である

 私はリクルートやライフネット生命での採用や育成、制度設計等の実務や、企業に対する人事や採用のコンサルティングを行ってきました。その中で、日本企業の多くは昔ながらの「経験則に頼る人事」から抜け出せていないと強く感じています。

 採用におけるソーシャルメディアや、育成における脱講義形式の様々なワークショップなど、ツール面においては新しいものの活用が少しずつ始まってはいるものの、人事の仕事の背景にある思想や考え方は、誤解を恐れずに言うと、二十年前からほとんど変化していないように見えます。

 というのも、「人」という誰もが口出ししやすい対象を扱う人事の世界は、「偉い人」や「現場の人」達の個人的な経験を過度に一般化させた「持論」(しろうと理論)が横行することが多く、原始的な領域にとどまっていることが多いからです。

 こう書くと、少しは身に覚えがあるのではないでしょうか?
自分の人を見る目に自信のあると豪語する部長、面接論・人材論を語る上役、「伝統的な社風」や「価値観」を重んじすぎる人事部…
こういった「しろうと理論に基づく人事1.0」を、普遍的かつ科学的な原理・原則に基づいて行う「人事2.0」に進化させなくては、いつまでたっても日本企業は人の可能性を最大化する場として機能することができないままでしょう。