実際、昨年のカンファレンスでは、クラウド型情報共有ツール「Evernote(エバーノート)」の創業者で、現在はAI関連の起業家支援スタジオの代表、およびビデオ会議システム用のプレゼン効果ツール「mmhmm(ムーフー)」共同創業者・CEOとして活躍するフィル・リービン氏が、日本語字幕付きの録画配信で登壇しました。

 フィルには、1時間ほど空き時間をつくってもらい、そこで撮影・録画したものを配信しました。また、講演では録画したものを配信し、質疑応答のみリアルタイムで行うといった方法も考えられます。質問については、事前に集めておく、というやり方をとることも可能かと思います。そう考えていくと、オンライン化によって、時間のリアルタイム性についても、より制限が緩やかになっていると考えられます。

オンライン・対面の体験が混じり合い
「ハイブリッド化」する世界

 共有する場のオンライン化、時間の非同期化に関連して、フィル・リービン氏がカンファレンスで語ったことが興味深かったので、紹介したいと思います。

 フィルは「我々の世界はハイブリッドになる」と言い、そのことを空間(オンラインと対面)、時間(事前収録とライブ)を軸とした4つの象限で説明しています。

 コロナ禍以前の世界は、この縦軸と横軸に区切られた4象限で完全に分離していました。従来の会議やイベントなら「ライブ×対面」、ZoomやTeamsでの会議なら「ライブ×オンライン」、YouTubeやNetflixの動画視聴なら「事前収録×オンライン」、映画館での映画鑑賞は「事前収録×対面」といった具合にです。

 それが今後は混ざり合い、ハイブリッド化するというのがフィルの主張です。例えば先ほど私が挙げた「オンラインイベントで講演は録画配信するが、質疑応答はライブで行う」というスタイルもそうですし、「授業への参加はオンラインと登校を、クラスの半数ずつローテーションで実施する」というのも、そういう例にあたるでしょう。