ミャンマー情勢が再び動いている。
2月1日、与党・国民民主連盟(NLD)が圧勝した昨年11月の総選挙で不正があったとする国軍が、アウン・サン・スー・チー国家顧問やウィン・ミン大統領らを相次いで拘束し、全権を掌握した。軍事クーデターである。
市民の抗議活動を抑圧すべく、軍部はインターネットの一時遮断を含めた情報統制を強化している。しかし、7日には、最大都市ヤンゴンで数万人が街頭に出て、NLDのシンボルカラーである赤色のシャツを着てスー・チー氏らの解放などを訴えるなど、軍部と市民の間のにらみ合いは続き、予断を許さない状況が続いている。
バイデン米政権はクーデター発生直後に、ミャンマーへの制裁発動警告を出している。一方の日本は、これまで国軍との関係も慎重に管理しながら両国関係の安定と促進をもくろんできた。欧州諸国の出方を含め、民主化とは逆行する動向を見せるミャンマー情勢に、国際社会としてどう対応するか。外交手腕が試される局面である。
中国共産党は
ミャンマーにどう向き合うか
そんななか、中国共産党がミャンマーの“逆民主化”にどう向き合うかという問題は注目に値する。筆者は、2014年夏、民主化に向けてかじを切ったかにみえたミャンマーでの滞在・取材体験を元に、約5年前、本連載でコラムを書いた(『中国は“民主化”に突き進むミャンマーとどう付き合おうとしているか?』2016年4月12日)。ヤンゴン市内で、人々がフェイスブックなどにアクセスしながら、民主化という将来に胸を躍らせていた、活気あふれる街並みを覚えている。