長短金利は、金融政策や債券需給の影響を受ける実質金利の部分とインフレ期待の2層に分けることができる。

 米国債券市場では、期待インフレ率を示すBEI(ブレークイーブン・インフレ)率の上昇がけん引する形での長期金利上昇が続いている。

 FRB(米連邦準備制度理事会)による実質ゼロ金利政策と債券買い入れ政策の長期化への期待は、実質金利を低い水準で安定させている。バイデン新政権による景気刺激策がインフレを高進させるとの期待などから、BEIの上昇がなかなか止まらない格好だ。

 これまで、米国債券市場ではBEIの水準はFRBの物価目標である2%が上限となりやすかったのだが、昨年、FRBが平均インフレ率目標を採用し、インフレ率の一時的な上振れを利上げのトリガーとしないと決定したことが影響し、足元では2%を上回ってきている。