みずほ証券エクイティ調査部の集計(2月12日時点)によると、東証1部に上場する2・3月期決算の上場企業の第3四半期(3~11月期または4~12月期)決算は、9カ月間の累計で経常利益が前年同期比14.4%減、純利益は同14.6%減。前年比2桁以上の減益であり、これだけを見ると厳しい内容に映るかもしれない(下図参照)。
だが、ここから直近の第3四半期(9~11月期または10~12月期の3カ月間)だけを取り出して見ると、全く違った景色が広がる。1年前の同期間と比べ経常利益は32.1%増、純利益は39.0%増と、コロナ前と比べても大幅な増益を達成。業績の回復が鮮明となっており、コロナ禍の影響が色濃く出ていた第2四半期までとは様相が一変しているのだ。
みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、事前の市場予想を大きく上回る好決算となった背景として、世界経済の回復に伴う生産・販売活動の活発化に加え、コロナの影響による働き方の変革などで、「出張や営業関連の経費といったコストの抑制効果も大きかった」と分析する。
各社の最新の通期予想に対する第3四半期決算(9カ月間)までの進捗率を見ても、東証1部全業種で経常利益は83.3%、純利益は88.2%という高さ。特にサービス業などの非製造業では進捗率が9割以上に達しており、年明け以降の緊急事態宣言の影響は見極める必要があるものの、通期では会社予想から一段と上振れしてもおかしくない状況にあるのだ。
ただし業種によって、回復ぶりには違いが見られる。東証1部上場企業(2・3月期決算)の33業種のうち、第3四半期の純利益が前年比プラスとなった業種の数は、9カ月累計では9業種である一方、直近四半期だけだと24業種へ急増。中でも、今期業績予想を大幅に上方修正したトヨタ自動車を筆頭とする輸送用機器や、鉄鋼などの業種で違いが際立っている。
さらに興味深いのは、アフターコロナの世界では企業の成長が「K字型」、つまり二極化をたどると指摘されてきたのだが、実際にその現象が今回の決算で浮き彫りとなりつつあることだ。