世帯合算は自分で申請が必要
医療機関では手続きできない

 原則的に、高額療養費は、1カ月ごと、個人ごと、医療機関ごとに限度額を計算することになっている。だが、「世帯合算」という制度があり、同じ月に家族が使った医療費、同じ月にひとりの人が複数の医療機関を受診した医療費も、一定要件を満たすと、まとめて高額療養費の申告ができる。

●世帯合算ができる医療費の条件
・同じ健康保険に加入している家族の医療費
・それぞれの医療費の自己負担分が2万1000円超(70歳未満の場合)
・自己負担した医療費の合計が世帯の限度額を超えている

 この3つの要件をクリアしていると、高額療養費の世帯合算の申請ができるが、これらは限度額適用認定証を見せても処理しきれない。

 それぞれの病院や診療所で把握できる患者の医療費は、自院を受診した分だけだ。「患者が、他の病院や診療所、薬局でどのくらい医療費を使ったのか」「患者の家族が、同じ月に医療費をどのくらい使ったのか」といったことにはノータッチだ。たとえ限度額適用認定証を提示していても、世帯合算の計算まではしてもらえないので、申請漏れが多くなりがちな部分だ。

 そのため、うっかり世帯合算の申請を忘れて、医療費控除の申告だけして終わりにしてしまう人がいることも考えられる。

 だが、所得控除の仕組みを利用して税金を還付する医療費控除に比べて、ダイレクトに医療費を返してもらえる高額療養費のほうがはるかに高い。

 同じ月に、妻が大腸がんの治療で150万円、夫がケガの治療で7万円の医療費(いずれも健康保険適用前)がかかった場合、高額療養費の世帯合算と医療費控除でもらえる還付金を比較してみよう。

●家族構成
A男さん:40歳・会社員・年収500万円・勤務先の健康保険に加入
B子さん:38歳・専業主婦・夫の健康保険に被扶養者として加入

●1カ月に自己負担した医療費
A男さん:自転車で転倒してケガをしたA男さんは、1カ月の間に整形外科に複数回通院し、合計7万円を自己負担した。

B子さん:同じ月に、B子さんは大腸がんの治療で入院。1カ月の医療費の総額は150万円かかったが、事前に限度額適用証を入手していたので、その場で高額療養費が適用されて、退院時に支払った自己負担額は9万2430円。
※高額療養費の計算式⇒8万100円+(医療費150万円-26万7000円)×1%

・夫婦の医療費の合計は157万円で、合計16万2430円を自己負担している。