コンサルタントを“器用貧乏”にしない!
キャリア形成を支援する担当社員も

 しかしこのワンプール制、実は途方もなく手間がかかり、リスクもあるという。

「コンサルタントとプロジェクトをマッチングする専門の部門があるが、今いる約2000人のコンサルタントとのマッチングを行うのは、大変な手間がかかる。また、このマッチングがあまりうまくいかなければ、コンサルタントが器用貧乏になってしまうリスクがある」(関口氏)

 そこで同社では、このマッチング部門と連携してコンサルタントのキャリア形成を支援する人事担当社員が、まるで芸能タレントのマネージャーのように寄り添い、一人一人のコンサルタントに対して、キャリアカウンセリングを実施。特に若手社員に対して、これからどんな仕事をしたいか、どうなりたいかを詳しく聞いていく。

 ただし、すべての若手社員がやりたい仕事をすぐにできるとは限らない。本人のスキルや経験が不足しているケースもあるからだ。そうしたときは、「なぜアサインできなかったのか納得できる理由を説明して、将来やりたいことができるようにサポートする」(関口氏)体制を整えているという。

午後8時には「退社」
コンプライアンスを重視して成果を

 若い頃からさまざまなプロジェクトに関われる魅力があるとはいえ、コンサルタントという仕事柄、激務をイメージする人も多いだろう。しかしベイカレントでは、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる以前から毎日午後8時には、オフィスから帰るように促していたという。

「以前は長時間労働をする社員もいたが、働き方改革などをきっかけに早く退社することを促すようにしたところ、正直、社員からは不満もあった。しかし、われわれとしてはコンプライアンスも順守しながら、生産性を上げていくような働き方を進めていきたい」

 現在のコロナ禍では、コンサルタントのリモートワークも浸透して、移動時間が節約できることでより効率がアップしているという。

 今回は、ベイカレントの働きがいがある理由について、同社の人事戦略やキャリア形成の側面から見てきた。会社として社員に成果を求めるのはもちろんだが、一人一人のキャリア形成に寄り添った制度とサポート体制を充実させることは、社員が働きがいを感じる重要な要素といえそうだ。