同業者の注目を浴びる濃縮技術

 最後に洗浄力については、アダムが中心となって日夜、技術的研究が進められています。2010年に世界同時発売した8倍濃縮洗濯洗剤(自社比)は、日本でも展示会に出展したところ、その洗浄力はもとより濃縮技術からフレグランスの残り方にいたるまで、日本の大手洗剤メーカーの研究員やマーケターの注目の的となり、展示会の会期中、小売店バイヤー、卸会社商品部の方々よりも、同業の方々が多く見に来られたことを鮮明に記憶しています。その濃縮技術は、現在のところ濃縮比率においてもっとも優れているとされ、濃縮洗剤のパイオニアの存在感を発揮しています。

 メソッドはデザインをトータルとして捉え、形も色も機能性も俯瞰してつくっています。自社にクリエイティブを持ち、デザインを会社の心臓部として完全内製化しているこだわりは、他社には容易に真似できないことだと思います。メソッドにとっては、この部分こそ企業の核心であり、決して他に譲ることができない差別化部分だからです。プロダクト・メーカーであるかどうかにかかわらず、このことは今後、成長に関わる大きなヒントなのではないかと思っています。

環境へのこだわり

 一方、環境について。いったいメソッドの何がどうして環境にやさしいのかということですが、商品はもとより、メソッドに属している個々のメンバーにいたるまで全員が環境に気を使っているということです。メソッドには「サステナビリティへの取り組み」がありますが、製品、プロセス、企業という3つのセグメントにおいて、その実現に取り組んでいます。

 製品そのものの構成成分の安全性、透明性は当然のこととして、そのパッケージも再生プラスティックボトルであり、第三者機関であるEPEA社(1987年に化学者のマイケル・ブラウンガート博士によって設立された、化学分野を専門とするコンサルティング会社)による素材選定を通した物質でないと原料として利用しないというポリシーも持っています。

「環境とデザインの融合」へのこだわりクレードル・トゥー・クレードル(ゆりかごからゆりかごへ)認証マーク。

 そして、究極的な点は、「Cradle to Cradle:C2C(*)(ゆりかごからゆりかごまで)」という先進的環境認証をクリーナー業界世界初として取得し(製品認証および企業認証)、そのコンセプトに従って製品を作り出していることです。プロセスにおいても然り、製品配送にはバイオディーゼル車を利用し、二酸化炭素排出削減にも注力しています。企業として、動物実験の排除、グリーンな建造物という認証を得ているビルに本社をおくなど、その姿勢は徹底しています。そして、メソッドに属するメンバーも積極的に環境活動に奉仕するということが常時、普通に行われているのです。

* C2C:素材を、自然界に還る「生物循環」とクローズドループの中で物質を循環させる「技術循環」という二つのループで捉え直し、有益で害のない資源循環の実現を目指すという先進的環境認証。この認証を取得している代表的企業には、化粧品会社のAVEDA社、高級家具製造会社のハーマンミラー社などがある。