午後8時以降の勤務は禁止!
約半数が午前8時前出勤に

伊藤忠,朝型勤務,軽食
午前8時までに出社した社員には、軽食を無料で提供している  写真提供:伊藤忠商事

 まず、社員にとって働きがいのある企業であるために、前提として欠かせないのが働きやすい環境だろう。冒頭でも紹介したように、同社では働き方改革の一環として、2013年10月に「朝型勤務」を導入。これまで深夜残業が当たり前だった状況にメスを入れた。

 午後8時から10時までの勤務は原則禁止、午後10時から翌日午前5時までの勤務は禁止に。一方で、午前5時から午前9時は深夜勤務と同じ割り増し手当が付くようになり、午前8時までに出社した社員には軽食を無料で提供。徐々に多くの社員が働き方を、夜型から朝型に切り替えていったという。

「最初は、深夜残業に慣れていた社員から抵抗もあったが、約半年のトライアル期間で、組織長自らが率先して帰宅したり、人事部が見回りなどをしたりすることで、浸透していった。導入5年目で約44%の社員が午前8時以前に入館する朝型勤務を行うようになった」(関野氏)

 これによって1人当たりの時間外勤務時間は、導入5年目で約11%減少。生産性の向上につながったといえるが、仕事が早く終わっても長時間飲み歩いていたのでは意味がない。そこで14年に導入されたのが、飲み会は1次会のみ、午後10時までという行動規範の「110運動」だ。新型コロナの影響を受ける以前は、これによって10時までに飲み会を切り上げる文化がすっかり浸透していたという。

伊藤忠商事,VR研修
多様な働き方を受容する取り組みの一つとして、VRで介護について学ぶ研修を「ダイバーシティウィーク」に実施している  写真提供:伊藤忠商事

 また、同社がこの10年ほどで力を入れているのが多様な社員が働きやすい環境づくりだ。育児・介護休暇や両立支援の制度を、法定を上回る水準で整備しているのに加え、がんと診断された社員の治療と仕事の両立支援にも積極的だという。

「がんと診断された社員が、自分の居場所があると感じられる体制を職場で構築して両立支援を行うとともに、高額な高度先進医療費の全額補助、子女育英資金の拡大なども行っている。どういう事情があっても、安心感と働きがいを持ってもらいたい」(関野氏)

入社3年目で“リーダー”に抜擢
「背番号」にとらわれない挑戦も可能

 働きやすさがあった上で、働きがいを感じるために欠かせないのが仕事における「裁量権」だろう。OpenWorkに寄せられている伊藤忠商事の社員クチコミでも見られるのが「若手にも大きな仕事に関与できるチャンスがたくさん回ってくる。仕事を任されるので成長スピードが速く、早期に一人前になれる」といった、裁量権に関する声だ。

 同社人事・総務部 採用・人材マネジメント室で人材多様化プロジェクトリーダーを務める米田栞氏は、「同業他社に比べて社員数が少ないこともあり、若手も重要な戦力。早く一人前になってほしいと、若いうちから仕事を任せる文化が根付いている」と語る。

 米田氏の所属する採用・人材マネジメント室では新卒採用を行っているが、そこでは入社3年目の社員がリーダーとなり、1~2年目の社員をマネジメントしながら、年間の採用計画を立てて実行に移しているという。