ポイントは「ハブ」の生徒との共有

 これで1年生はまとまり、私との絆らしきものができますが、これだけでは私の弱弱指導のポイントをお伝えしたことにはなりません。

 熱血リーダーのただの感動メッセージに終わらせない秘訣は、この1年生との対話を、ハブになってくれている3年生の総務やドラムメジャーといった役員たちと共有することです。

 年間スケジュールが決まっているので、1年生がへばってくる時期はだいたいわかります。そこで笑顔が消えてきた頃合いで部長たち総務を呼んで、「ちょいちょいちょい。あの話、そろそろタイムリーかな」とあえて相談します。

「あの話」と言っただけで通じるのがすごいところで、「おまえら、しんどいやろ」と始める(1年生が号泣する)“あの話”だと、総務たちは理解しています。

「もうそろそろ時期やないかなと俺は思うねんけど、今日あたり、どうかな?」ともちかけると、部長によっては「先生、今日はステップの練習を仕上げておきたいってドラムメジャーが言うてます。明日にしてもらえませんか?」と冷静に返してきます。

「あかん。明日は俺、会議があるわ」と一緒にスケジュール調整をすれば、ハブになっている総務たちは、「『私たちが』先生を使って、1年の指導をしている」と主体的にとらえてくれます。

 この総務たちの自覚がセットになってこそ、弱弱指導。私は「総務に操られて感動話をするおもろいおっちゃん」と思ってもらえれば、それでいいのです。