象印マホービンと中国家電メーカーの広東格蘭仕集団(ギャランツ)が3月5日、家電製品の共同開発契約を締結した。象印株13.5%を保有するギャランツの創業家は昨年2月の象印株主総会で独自の社外取締役選任を求めたが、これに象印の経営陣が反発した経緯がある。一転して協調路線にかじを切った狙いは何か。ギャランツの創業家で、経営ナンバー2の梁恵強副会長に独占インタビューを行った。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
2021年度中に家電共同開発へ
中国市場で販売拡大も視野に
ギャランツは梁副会長の祖父、梁慶徳氏が羽毛製品の生産会社として1978年に創業。90年代に白物家電メーカーに転身し、ギャランツによれば、OEM(相手先ブランドによる生産)を中心に電子レンジの世界シェア約3割を握る。
梁恵強副会長は2018年、米プリンストン大学を卒業後に現職に就いた。父の梁昭賢会長と共に巨大家電メーカーを率いる25歳の若者だ。象印の大株主であるギャランツ創業家の個人ファンド、エース・フロンティア(AF)の代表も兼務する。
一方、象印は創業100年を超える老舗メーカーだ。中国人旅行者による炊飯器の爆買いなどの追い風を受けて16年11月期に営業利益は121億円に達したが、その後は減収減益が続く。20年11月期の営業利益は54億円だった。
その象印について梁副会長は、「2021年度中に共同開発する新商品をまずは日本で販売したい。新商品が適切に販売されれば、今後の業績に良い影響を与える」と業績改善に自信を示す。
また既存の象印商品について「海外で売り上げを伸ばす余地がまだまだ大きい。象印が希望すれば将来、ギャランツが中国市場での販売において協力していくことも検討したい」と具体的な販売戦略を明かした。
梁副会長の一問一答は以下の通り。
――今回の共同開発契約の狙いは。
象印は技術力が高く、炊飯器やマホービンなどの製品はグローバルで見ても素晴らしい。今回、製品の共同開発で合意したことをうれしく思う。象印について1世紀に及ぶ発展の歴史と「暮らしを創る」という経営理念に敬意を抱いている。