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日立製作所が低迷していた海外の家電事業の株式の6割をトルコの家電メーカー、アルチェリクに売却し、両社で設立する合弁会社で欧州市場などの開拓を目指す。日立は「成長のための前向きな売却だ」と強調するが、収益を改善できるかどうかは新会社のかじを取るアルチェリク次第。日立にとっては視界不良の中での船出になる。日立の経営動向に関する緊急連載(全3回)の第1回は、家電事業の停滞に苦しむ日立の葛藤を描く。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

>>緊急連載第2回『日立「次期社長レース」が大詰め、日本勢vs欧州勢の熾烈な争い』〈12月22日火曜日配信予定〉
>>緊急連載第3回『日立御三家を巨額買収した昭和電工、早くも「事業切り売り」の悲惨』〈12月23日水曜日配信予定〉

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マイナー出資で主導権を握れず
中期の利益目標も示せず

 日立製作所が、課題事業の一つだった家電事業の荒療治を始めた。

 家電事業は白物家電が中心で、国内ではパナソニックと並ぶ大手だが、海外では低シェアに甘んじている。

 そこで日立は家電事業の中でも特に利益率が低い海外事業(2020年4~9月期4%未満〈ダイヤモンド編集部推計〉)の株式の6割をトルコの家電メーカー、アルチェリクに売却することにしたのだ。

 この売却で「問題事業」が連結から外れることにより、日立の営業利益率は目標の「10%超」に近づくが、家電事業全体が“利益目標未達成の問題事業”から脱するのは簡単ではなさそうだ。

 今後、国内の家電事業は引き続き日立が、海外の家電事業はアルチェリクと立ち上げる合弁会社(持ち分比率は日立4割、アルチェリク6割)が担う。日立にとって合弁のメリットは、アルチェリクの海外販売網を活用できることだ。同社は特に欧州市場に強く、白物家電でシェア2位を誇る。

 日立は、弱かった海外市場(欧州や南アジア、アフリカ)でシェアを拡大し、それによって得た収益は、「持ち分法投資利益」と日立ブランドや技術に対する「ライセンス料」として日立の懐に入る算段だ。

 ところが、日立が12月16日、海外家電事業の新スキームを発表した会見で示した利益目標は、物足りないものだった。日立がアルチェリクとの提携を「成長に向けたグローバルアライアンス」と呼ぶからには、持ち分法投資利益やライセンス料としての収益を積み上げることで、現状実績を上回らなければ意味がない。

 しかし、そうしたばら色の見通しを示すことができなかった。なぜなのか。