たとえば緊急地震速報を受けて走行中の新幹線を30秒早く停止動作に移ることができるようになり、より早く安全を確保できるようになる。こういった技術が進歩しています。

 震災の悲劇を思い起こせば、大川小学校で多くの児童と教員が津波にのまれました。現場の組織的対応の判断ミスが生んだ悲劇として語り継がれていますが、これは情報不足が生んだ悲劇でもあります。この時間、巨大津波が宮城県を襲っているという情報が十分に伝わっていれば状況判断は変わっていたかもしれません。

 震源地から遠く離れた千葉県の銚子港の近くではタイムラグで大きな悲劇が起きました。地震から2時間半がたち、高台の避難所から自宅に帰宅を始めたひとたちを遅れてやってきた津波が襲ったのです。このような情報が伝わっていれば防げた悲劇をどうなくすのか、そこが震災以降の課題となったのです。

 今、この情報伝達について変わりつつあること、そしておそらく近い将来、ずっと完璧にできるようになることが5GとIoTによる広域における地震情報の共有です。

IoTで災害被害をリアルタイムに把握
鍵を握るのは官民含めた連携

 昨年4月、旭化成が都内のたくさんのヘーベルハウスに地震計を設置してつなぐことでIoTによる防災網の構築を始めました。これが完成すると今年度末には23区全体が、2023年度末には全国のヘーベルハウス販売エリア全体がメッシュ状の非常に細かい地震計ネットワークで網羅されることになります。

 そうなれば巨大地震の発生時に個別の建物の被害だけでなく、断水やガス管の断裂、液状化の発生などの状況を含めた災害地図をリアルタイムで把握できるようになるわけです。そして旭化成はこれらの情報について官民含めた外部への提供を視野にいれています。

 この「官民含めた外部への提供」がこれからの10年の未来に向けた希望です。災害被害を感知するものはこれから先、単独の機構よりも無数の連携、限られた数の人員よりも数多の機械の力が役立つ時代になります。